EVENT REPORT

AI新規事業立ち上げハッカソン

「効率化じゃもったいない」。1日でAIプロダクトが5つ生まれた日

2026年8月23日(日)開催 / 東京・目白台+オンライン / 1日完結型ハッカソン

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AI新規事業立ち上げハッカソン 2026年8月23日開催

「たった1日でAI新規事業を立ち上げる」。そんな一文を掲げて、8月23日(日)にAI新規事業立ち上げハッカソンを開催しました。集まったのは、開発そのものがはじめてという方、まだ自分の事業を持っていない方、そして「自分は場違いかもしれない」と思いながら申し込んだ方。それでも18時の発表時間には、全員の手元に動くプロダクトがありました。運営側が作ったものも含めて、この日生まれたプロダクトは5本。当日、何が起きていたのかをレポートします。

開催概要

イベント名
AI新規事業立ち上げハッカソン
開催日時
2026年8月23日(日)14:00〜18:00(懇親会 18:00〜20:00)
会場
東京都文京区目白台二丁目9番4号 1F(副都心線 雑司ヶ谷駅から徒歩7分)
+ オンライン(Google Meet)
形式
会場・オンライン併用の1日完結型ハッカソン(構想・開発・発表・講評まで当日中)
規模
少人数開催(運営がほぼマンツーマンで伴走できる人数)
参加費
3,000円(ハコブネ会員は無料)/ 懇親会 2,000円
主催
ハコブネ(AI × 新規事業開発コミュニティ)

参加者の顔ぶれ

今回のハッカソンは「非エンジニア歓迎」「手ぶらで来てもOK」を掲げての開催でした。加えて、目白台の会場に加えてオンライン(Google Meet)からも参加できる形にしています。遠方の方や、当日の予定が読めない方でも、自宅から同じ1日に参加できる設計です。実際に集まったのは、事前の想定以上にスタート地点がバラバラなメンバーでした。

アンケートでは、参加前の状態について「自分は場違いな人間だと考えていました」「効率化くらいしかイメージがなかった」という回答が並びました。つまり、全員が“作れる人”として集まったわけではありません。それでも1日で形になった、というのが今回いちばんお伝えしたい事実です。

当日の流れ

実際に手を動かせる時間は、前半・後半あわせておよそ4時間弱。この制限があるからこそ「今日中に発表できる形」から逆算する思考が働きます。そして結果として、参加者全員が、たった4時間で自分のプロダクトを作り切りました。誰ひとり「時間が足りなくて形にならなかった」で終わっていません。

運営はGoogle Meetにも常駐し、会場の参加者とオンラインの参加者を分け隔てなく個別に伴走しました。発表・講評・表彰まで含めて、どちらから参加しても同じ体験になるように進めています。

ハッカソン会場で、講師が参加者のノートPCを見ながら1対1でレクチャーしている様子。背面の壁には前半の部の進行スライドが投影されている
講師が横についてのレクチャー。投影されているのは前半の部のゴール設定——「テーマ確定」「要件・画面イメージ」「着手」の3段階だ。

前半で全員に求めたのは、コードを書くことではなく「誰の、どんな課題を解くか」を一文で言い切れる状態にすること。ここが決まらないまま手を動かすと、夕方に発表できるものにならないからです。詰まっている人がいれば講師が席まで行き、その場で一緒に言語化する——という進め方をしていました。

この日生まれたプロダクト

この日発表されたプロダクトは、運営側が手を動かしたものも含めて全5本。いずれも「便利ツール」で終わらない、事業の種としての輪郭を持ったものでした。参加者3名のプロダクトと、運営が同じ制限時間で作った2本を紹介します。

01社員の資格期限管理アプリ

社内に何十人といる有資格者の更新期限を、抜け漏れなく管理するためのアプリ。「気づいたら期限が切れていた」という、多くの企業が地味に抱えている課題に正面から当てたテーマです。参加時点では自分の事業・サービスを持っていない状態からのスタートでしたが、発表後には「今回開発した内容を完成させてサービスにする道筋が見えた」という感想をいただきました。1日で作ったものが、そのまま次の一歩の起点になっています。

02類似PoCを横断比較する、企業向けPoC設計ツール

企業の課題を入力すると、同業種だけでなく「課題の構造が似ている異業種」の実在PoCまで発見し、条件・結果・制約を横断比較。過去の失敗を避けたうえで、その企業が最初に検証すべきPoCの設計を提示する——というツールです。

作ったのは、開発がまったくのはじめてという方。時間制限のあるなかで最後までやり切り、当日の講評で高い評価を受けて受賞されました。「場違いかもしれない」と思って参加した方が、その日のうちに賞を持ち帰ったことになります。

03自己理解をベースにした事業提案の診断ツール

診断を通じてその人自身の強みや志向を言語化し、そこから事業提案につなげる。さらに事業設計の個別相談への導線として機能させる、という設計まで含めたプロダクトです。ツール単体で完結させず、その先のビジネスモデルまで含めて考えられている点が特徴でした。

この方は参加前、AIについて「効率化くらいしかイメージがなかった」と振り返っています。当日、運営からかけられた「効率化じゃもったいない」という一言をきっかけに、便利ツールではなく“商品”を作るつもりで手を動かした結果がこのプロダクトでした。

04BENLOG(便ログ)― 運営制作

運営も参加者と同じ制限時間で手を動かしました。生まれたのが「BENLOG(便ログ)」。ひとことで言えば「出したら記録。うんちが育つ。」——うんち育成ゲームをやっていたら、結果的に排泄と生活の記録が残っているアプリです。

育成モデルは1ヶ月=1体。月初にたまごが生まれ、月末に図鑑「BENDEX」へ確定し、翌月また新しいたまごが始まります。検証したい仮説は「うんちを育てるためなら、人は毎日トイレを記録するのか」の一点だけ。ヘルスケアアプリの入力継続という難題に、育成ゲームの動機づけで殴り込む、という設計です。

ふざけたテーマに見えますが、中身は真面目です。この日作ったのはWebモックですが、同時に仕様書もここまで書かれていました。

BENLOG 仕様書の概要シート。アプリ名・コンセプト・育成モデル・検証したい仮説・合格ラインと、Phase 0〜4のロードマップが一覧化されている
1日で決めきった「何を検証するのか」。合格ラインはD7継続率40%/D30継続率20%/1日平均3.5件と数値で置かれ、Phase 0〜4のロードマップまで引かれている。
BENLOG 仕様書の機能要件シート。FR-101形式のID・カテゴリ・機能・優先度・フェーズ・内容が表になっている
機能要件は FR-101 形式でID採番し、「必須/Phase2/対象外」の優先度とフェーズを一件ずつ振り分け。
BENLOG 仕様書のキャラクター一覧シート。27体それぞれの名前・ステージ・分岐・レア度・図鑑説明・出現条件が定義されている
育成キャラは27体。ステージ・分岐(朝型/夜型/継続型/快便型など)・レア度・出現条件に加え、図鑑説明の一文まで書かれている。

シートは他にも画面一覧、便器判定ロジック、進化条件、データモデル、コラム32本まで分かれています。日次コンディションスコアは配点表で100点満点に正規化され、金・銀・銅のしきい値も、未入力だった項目を中央値として扱うルールまで決まっている。1日のイベントで出てくる成果物の粒度ではありません。

ここは種明かしをしておくと、運営元は受託開発で300件以上のプロダクト開発を手がけてきた会社です。「作りたいもの」を「作れる仕様」に落とす手順が標準化されているので、限られた時間でもこの粒度まで一気に降りられます。ハッカソン当日に運営が横についているというのは、要するにこの手順を横で見られる、ということでもあります。

05インタビューAIメディア ― 運営制作

運営制作のもう1本は、まったく毛色の違うものでした。「取材」という入り口で、業界特化のリストを集めるメディアです。

出発点は、営業リストの獲得がどんどん難しくなっているという現実。問い合わせフォームからの営業も、DMも、返信率は落ち続けています。一方で「取材させてください」という依頼は、断られにくい。取り上げられる側にメリットがあるからです。この非対称性を使って、狙った業界の企業リストと接点を同時に積み上げていく、という設計になっています。

もちろん、取材はメディア側の労力が重い——というのがこれまでの常識でした。アポ取り、質問設計、実施、文字起こし、記事化。だから件数が伸びない。ここをAIで巻き取り、少ないリソースで回せる体制にするのがこのプロダクトの肝です。「取材はコストがかかるもの」という前提そのものを崩しにいっています。

もう一段、時流を読んだ狙いもあります。近年のAIO(AI Optimization)——検索エンジンではなく生成AIに引用される状態をどう作るか、という文脈です。ここで効いてくるのは自社サイトからの発信だけではなく、第三者に言及されている状態も重要になってきている、と言われています。取材記事はまさに第三者評価の形をとるので、取材を受けた企業側にも「AIに拾われる資産が増える」という価値が生まれます。集める側と受ける側の両方に理由がある構造です。

リスト獲得・コンテンツ資産・AIO対策が1本の動線に乗っている。「便利なツール」ではなく事業として設計するとはどういうことか、その見本のような発表でした。

発表されたのは「プロダクト」ではなく「事業」だった

今回いちばん予想外だったのは、発表の中身です。プロダクトだけでなく、プレゼン資料まで作り込んできた方が多かったこと。そして、その資料で語られていたのがデモの操作手順ではなく、事業としての筋道だったことです。

誰のどんな課題を解くのか。どこで収益が立つのか。最初のユーザーをどうやって獲得するのか。——動くものを見せて終わりではなく、ビジネスモデルと初期ユーザーの獲得方法まで含めて発表される。技術的な出来栄えを競う場ではなく、事業の筋の良さが議論される場になっていました。

「動くものができました」で終わるハッカソンは少なくありません。今回そうならなかったのは、最初のルール説明の時点で「便利なツールではなく、お金を生み出す事業を作る」という前提を全員で共有していたからです。参加者からも、この点を評価する声が挙がっていました。

便利なツールを開発すると言うより、ちゃんとお金を生み出す事業を作れるということを伝えたいと思います。僕のような初心者というより、ある程度知見のある方が「事業開発」の観点を得られることがすごく大きいと思いました!

— 事業提案の診断ツールを開発した参加者

運営から出た「効率化じゃもったいない」という一言も、同じことを別の角度から言ったものです。AIで何かを効率化するアイデアは、今や誰でも数分で思いつきます。そこで止まらず、誰かがお金を払う理由まで設計する。この一段の差が、単なるAIハッカソンとの違いになりました。

とはいえ、事業計画を持ってくる必要はありません

ここまで読んで「自分にはハードルが高そう」と感じた方がいるかもしれません。念のため書いておくと、そういう場ではありません。

実際、今回の参加者は「開発すること自体がはじめて」「まだ自分の事業を持っていない」「AIは効率化くらいしかイメージがなかった」という方ばかりでした。「自分は場違いな人間だと考えていました」と振り返った方が、その日のうちに受賞しています。

事前準備は必須ではありません。作りたいものが決まっていなくても、その場で一緒に考えます。手ぶらで来ても形になります。事業開発の観点は運営が横について渡すものであって、参加の条件ではありません。

「AIでプロダクトを作ったことがない」「新規事業を立ち上げた経験がない」。けれど興味はある。——それがちょうどいいスタート地点です。今回の結果は、そのことを一番わかりやすく示しています。

ハッカソン終了後の集合写真。Google Meetの画面に参加者と運営が並び、それぞれ手でポーズをとっている
発表と表彰を終えて、Google Meetで記念撮影。会場とオンラインをつないで走り切った1日だった。

参加者の声

はじめて開発して、時間制限があるなか、最後までやり切れました。さらに高評価もいただいて自信がつきました! 個別アドバイスでAPI等のヒントももらえたこと、積極的に声かけをしてくださったことで、とても質問しやすい環境でした。まったくの素人でも気軽に参加できるので、開発体験に興味がある方はぜひ。

— 開発がはじめての参加者(PoC横断比較ツールを開発・受賞)

AI事業作りとは何か?のイメージがつかめた。開発の大まかな流れ・やり方がわかった。一応の完成品がつくれた。みなさんの開発したものを見てイメージが膨らんだ。ほぼマンツーマンで贅沢な環境だった。——ビフォーを考えると、ここまでできれば300点くらいだと思います!

— 「効率化くらいしかイメージがなかった」と話す参加者

自分の発想にない、他の方々のアイデアが知れるのはありがたいです。今回開発した内容を完成させて、サービスにする道筋が見えました。一方で、自分の開発スピードが遅いことも分かった。スピード感に意識を向ける必要があると感じています。

— 自分の事業をまだ持っていない状態から参加した方

アンケートにご回答いただいた方の満足度は、全員が10点満点中10点。次回についても「必ず参加したい」「都合が合えば参加したい」という回答をいただきました。

1日で何が変わったのか

3名の回答を並べると、持ち帰ったものが少しずつ違うことが見えてきます。

ひとつは「作れる」という手応え。開発未経験でも、時間を区切って伴走がつけば、発表できる完成品までは届く。しかもこれは一部の人の話ではなく、この日集まった全員が、限られた時間のなかで自分のプロダクトを完成させています。「場違いかもしれない」が「賞をもらった」に変わるまで、かかった時間は4時間ほどでした。

ふたつめは事業としての視点。「便利なツールを作る」と「お金を生み出す事業を作る」は、似ているようで作り方がまったく違います。参加者からも「ある程度知見のある方こそ“事業開発”の観点を得られるのが大きい」という指摘をいただきました。ハコブネが効率化ツールで満足しないのは、まさにここが理由です。

みっつめは自分の現在地。「自分の開発スピードが遅いことが分かった」という声のように、締切のある場に身を置いてはじめて見える課題があります。これは1人で作っていても気づけません。

運営として持ち帰った宿題

手応えと同じくらい、改善点もはっきりしました。正直に2つ書いておきます。

ひとつは「発表があるのが重たい」という声。これは想定内でもあります。発表があるからこそ「1日で作り切る」という意識が働く——と参加者ご自身も理解を示してくださっていました。とはいえ、プレッシャーの与え方には工夫の余地があります。発表の形式や時間配分は次回の検討事項です。

もうひとつは伴走のさじ加減。「結構丁寧に伴走してもらったけれど、ここから先を自分で進めることを考えると、AIに質問しながらできる限り自分で進めるほうが力がついたかもしれない」というご意見をいただきました。手厚さが、その場の完成度と引き換えに“自走力”を削いでしまう可能性がある。詰まったときに答えを渡すのか、聞き方を渡すのか。ここは運営側で線を引き直します。

今後の活動について

生成AIの登場で、リサーチ・企画・プロトタイピングにかかる時間は劇的に短くなりました。だからこそ「いつかやりたい」を抱えたまま止まっているのは、いちばんもったいない状態です。今回のハッカソンは、その距離が実際には1日ぶんしかないことを、参加者自身のプロダクトで証明する場になりました。

ハコブネは、AI時代の波を乗り越えるためにプロダクトを作りまくるコミュニティです。ハッカソンは今後も継続的に開催し、あわせてオンライン・オフラインの交流会や、事業立ち上げに個別で伴走するゼミもご用意しています。

次回以降はオンライン開催(13:00〜18:00)で、2026年9月19日(土)10月18日(日)を予定しています。参加費はハコブネ会員は無料、一般の方は3,000円です。詳細と参加予約は1DAY新規事業立ち上げイベントのページをご覧ください。「1日で自分の事業を持つ」体験に興味のある方は、ぜひ次回ご参加ください。

次は、あなたのプロダクトを。

1人だと、なかなか手が動かない。誰かと一緒に作りたい。他の人が何をどう作っているのか、その考え方を知りたい。——ひとつでも当てはまったら、次回のハッカソンでお待ちしています。たった4時間で、あなたも自分のプロダクトを持ち帰れます。

次回は 2026年9月19日(土)/ 10月18日(日) 13:00〜18:00 ・オンライン開催
各回10名(ハコブネ会員は参加費無料)

通常価格 ¥4,980/月(税込) 今すぐ入会する