COLUMN

スモールビジネス

スモールビジネスの始め方決める・試す・小さく売る・続けるを90日で

2026年9月16日公開 / ハコブネ編集部

AIの津波に飲み込まれるか、ハコブネに乗るか。

← コラム一覧へ戻る

公開 2026年9月16日/最終更新 2026年9月16日 | 監修:池田 龍一(株式会社Walkers 取締役) | 読了 約8分

スモールビジネスの始め方

スモールビジネスの始め方でつまずく場所は、ほとんど決まっています。順番を間違えて、いちばん時間のかかる「作る」から手をつけてしまうことです。作り始めると進んでいる感覚が出るので、売れるかどうかを確かめないまま数ヶ月が過ぎます。この記事では、決める→試す→小さく売る→続ける、という順番で、最初の90日にやることを具体的に並べます。スモールビジネスという言葉の定義やスタートアップとの違いは別記事に譲り、ここは手順だけに絞ります。90日という区切りは、季節や気分の波をひととおり含み、かつ引き返せる長さだからです。

この記事について

書いているのは、作る側です。ハコブネを運営する株式会社Walkersは、受託と自社事業で累計300件の開発に関わり、200社以上の事業づくりを支援してきました。監修は取締役の池田龍一です。

一般論ではなく、実際にやったことの中身で説明します。この記事に出てくる数字は、すべて公開済みの自社・支援先の事例から引いています。出典は記事の最後にまとめました。

始め方は4つの段階に分かれる

最初の90日でやることは、大きく4つです。決める・試す・小さく売る・続ける。 この順番には理由があります。決める前に試すと何を確かめたのか後から言えなくなり、試す前に売ると断られた理由がわからず、売る前に作り込むと直せない量になっているからです。

ハコブネの新規事業立ち上げゼミも、現状整理→立ち上げる対象を1つに決める→コンセプト→顧客→MVPを作って動かす→改善→リリース→集客設計、という流れをとっています。3ヶ月・全6回・最大2名の個別伴走です。「対象を1つに決める」が、作るよりずっと前に来ていることが要点です。

以下では、この4段階を30日ずつの区切りに落とします。期間は目安なので、前倒しでも構いません。避けたいのは、前の段階を飛ばして先に進むことだけです。

始める前に、週に使える時間を先に決めておいてください。「空いた時間でやる」はたいてい空かないまま終わります。平日夜に2時間ずつで週4時間、土曜の午前に3時間、といった具体的な枠にして、その枠に入る大きさの計画に削るほうが続きます。90日という区切りが意味を持つのは、この枠が毎週守られている場合だけです。

1〜30日:決める(対象を1つに絞る)

最初の30日は、手を動かす時間ではなく、削る時間です。やることは1つ、立ち上げる対象を1つに決めることです。

まず、候補を3つ書き出します。このとき「やりたいこと」ではなく「誰のどの場面の、どの作業か」という形にしてください。「デザインの仕事」ではなく「個人で店をやっている人が、月に一度SNS用の画像を作るのに困っている場面」まで下ろします。場面まで下りない候補は、比べることができないので選べません。

つかさは公開のXで、Who・When・What・Where・How・Whyを埋めると新規事業のコンセプトになる、と書いています。3つの候補それぞれについて、この6つを埋めてみてください。埋まらない欄がある候補は、まだ調べていない証拠です。

そのうえで、次の3点で1つに絞ります。

  • その場面に、自分がこれまで居合わせたことがあるか
  • その作業で困っている人を、いま何人思い浮かべられるか
  • 相手が「毎月」やっている作業か(年に一度なら検証に1年かかります)

3つめは特に重要です。頻度が低い作業を選ぶと、試す回数が物理的に稼げません。

31〜60日:試す(聞く→見せるの順で)

決まったら、次の30日は確かめる期間です。ここでもまだ作りません。

前半は聞く。思い浮かべた相手に、5人から10人ほど話を聞きます。売り込みではなく事実の確認から入ってください。聞くのは4点です。いまその作業に月何時間かかっているか、誰がやっているか、失敗するとどうなるか、これまで何を試してだめだったか。この4つが埋まると、いくらなら払う価値があるかは相手の口から出てきます。

後半は見せる。説明を1枚にまとめて、同じ相手に見せます。ここで作るのは商品ではなく、説明と申し込み口だけで十分なことが多いです。反応を見たいのは機能ではなく「お金を払う理由」なので、機能は無くても確かめられます。

作って確かめる段階に進むときも、規模は思っているより小さくできます。2026年8月23日に東京・目白台とオンラインで開いたハッカソンでは、開発が初めての人や事業を持っていない人を含む参加者全員が、4時間弱でプロダクトを完成させて発表しました。生まれたのは5本(参加者3本+運営2本)で、受賞したのは開発未経験の参加者です。少人数の回なので一般化はできませんが、アンケートに答えた3名は満足度が全員10点満点でした。

このとき運営が作った記録アプリBENLOGでは、確かめる仮説を「うんちを育てるためなら、人は毎日トイレを記録するのか」の一点に絞り、合格ラインを7日後の継続率40%・30日後20%・1日平均3.5件と置いています。これは検証前に置いた目標値で、実測ではありません。大事なのは数字の中身ではなく、始める前に合格ラインを書いておくことです。

61〜90日:小さく売る

3つめの30日は、値段をつけて実際に受け取る期間です。無料で配ると、感想はもらえても判断材料になりません。

取り方のこつは、範囲を狭く切ることです。「全部やります」ではなく「この作業だけ」「1ヶ月だけ」と切るほうが、実績のない状態では決まりやすくなります。最初の1件は、すでに自分を知っている人の中から出ることがほとんどです。

途中で作る順番を変えることも、失敗ではありません。UPSTA JapanのApoLinkは、日程調整と決済が一体になったビジネスマッチングのサービスです。テストマーケでマッチング機能の反応が良かったため、開発の途中で作る順番を組み替え、それでも予定どおりリリースしました。開発2ヶ月半、リリースから1ヶ月半で会員200人弱です。反応が出た場所に合わせて順番を変えるのは、計画の失敗ではなく検証が効いた証拠です。

売り方の形そのものを小さく設計する手もあります。Walkers自社のHP Answerは、ヒアリングシートだけで打ち合わせ0回、48時間以内に初稿3パターンを返す形にして、制作費0円・月額4,900円で提供しています。打ち合わせを無くしたぶん、一人でも受けられる件数が変わります。

断られたときは、理由を1行だけ残してください。高い、いま必要ない、他で足りている、相手が決裁者ではなかった。この4つのどれかに寄っていきます。断られた理由の内訳は、売れた1件より多くのことを教えてくれます。 値段が原因なら範囲を切り直し、必要性が原因なら選んだ場面そのものを疑うことになります。

90日後に「続ける・変える・やめる」を決める

90日が終わったら、判断します。判断の物差しは、31〜60日の段階で自分が書いた合格ラインです。後から都合よく書き換えないために、紙かファイルに残しておいてください。

見るのは次の3つです。

  • お金を払った人が何人いたか(欲しいと言った人の数ではありません)
  • 同じ人が2回目を買ったか、続けているか
  • 自分が90日間、決めた作業量を実行できたか

3つめが欠けている場合、事業の良し悪しはまだ判定できません。実行量が足りていないだけの可能性があるからです。この場合にやることは、事業を変えることではなく、週に使う時間を先に固定し直すことです。 なお、続けると決めた場合でも、成果を約束できる進め方は存在しません。確かめた範囲が広がっただけだと考えてください。

90日を過ぎたら、続く形に切り替える

続けると決めたら、目的が変わります。ここから先は「売れるか確かめる」ではなく「毎月同じだけ入ってくる状態を作る」です。やることは主に3つで、手順を記録に残すこと、同じ説明を繰り返し使える形にすること、そして自分が動かなくても回る部分を1つずつ増やすことです。

一人で運営するなら、この切り替えを早めにやっておくほど後が楽になります。1952年創業の一番飯店がノーコードのオーダーシステムを導入から約2年使い続けているように、続く仕組みは毎日使う場所にだけ効きます。具体的な組み方は、一人で回す設計の記事にまとめました。

よくある質問5選

質問190日より短くできますか。

できますが、短くするなら「聞く」の相手の数を減らさないでください。聞く相手が少ないと、たまたま1人が言ったことを全体の傾向だと思い込む危険が上がります。期間を詰めるなら、作る量のほうを削るのが順当です。

質問2資金はどのくらい用意すべきですか。

金額の目安は事業の形によって大きく変わるので一概には言えません。判断の基準としては、売上がゼロの月が続いたときに何ヶ月持ちこたえられるかを先に計算しておくことです。税務や資金調達の具体的な判断は、税理士など専門家に確認してください。

質問3話を聞ける相手が一人もいません。

その場合、選んだ対象がまだ抽象的なことが多いです。「誰の・どの場面の・どの作業か」まで下ろすと、身近な範囲に該当者が見つかることがあります。それでも見つからないなら、対象を選び直すほうが早いです。

質問4作るものを自分で用意できない場合はどうしますか。

最初の30〜60日でやることは、作ることではなく確かめることなので、その段階では不要です。作る必要が出てから、外部に頼むか、小さく自分で組むかを判断してください。規模を絞れば、数週間で建つ例もあります。

質問590日で結果が出なかったら失敗ですか。

合格ラインに届かなかったという事実が出ただけで、次の候補に移る材料になります。事業の立ち上げは、当たりを引くまでに何回まわせたかに引っ張られる面があるので、1回で判断せず、回数を確保するほうが実際的です。

この記事について

池田 龍一

執筆:ハコブネ編集部 / 監修:池田 龍一

株式会社Walkers 取締役

池田は、ITとノーコードの事業開発・教育事業の立ち上げを経て2021年にWalkersを共同創業。100件以上のシステム開発に携わり、要件がまだ固まっていない案件や、他社から引き継いだ開発の立て直しを担当しています。

株式会社Walkersは、AI駆動開発・ノーコード開発のシステム開発会社です。累計開発実績300件、200社以上の支援、自社メディアの累計100万PV。受託開発と並行して、自社でも複数の新規事業を立ち上げています。

最終更新:2026年9月16日

作る前の「何を確かめるか」を、人と決める

ハコブネは、AIで新規事業を立ち上げたい個人・経営者のコミュニティです。
1日でプロダクトを形にするイベントも定期開催しています(会員は参加費無料)。

ハコブネに参加する

月額 ¥4,980(税込)/入会金・解約金0円 | 1DAYイベントは こちら

通常価格 ¥4,980/月(税込) 今すぐ入会する