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新規事業立ち上げ

SaaSのアイデア40選と、選ぶときの4つの軸業種別20・業務別20を並べて、単価と契約の決め方まで

2026年9月16日公開 / ハコブネ編集部

AIの津波に飲み込まれるか、ハコブネに乗るか。

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公開 2026年9月16日/最終更新 2026年9月16日 | 監修:池田 龍一(株式会社Walkers 取締役) | 読了 約9分

SaaSのアイデア40選と、選ぶときの4つの軸

SaaSのアイデアを探すとき、多くの人はまず「何を作るか」から考えます。ただ、当たりやすい案の条件は作るものの側にはなく、相手の業務の側にあります。SaaSが続くのは、便利だからではなく、その業務が毎月必ず発生し、止めると誰かが困るからです。この記事では、先に選ぶための4つの軸を示したうえで、業種別20・業務別20の合計40個のアイデアを並べます。最後に、月額・従量・席数という単価の決め方と、実際に解約や乗り換えが起きる理由を、開発事例をもとに整理します。個別のサービス名ではなく「どんな業務か」で書いているので、自分の周りの業務に当てはめながら読んでみてください。

この記事について

書いているのは、作る側です。ハコブネを運営する株式会社Walkersは、受託と自社事業で累計300件の開発に関わり、200社以上の事業づくりを支援してきました。監修は取締役の池田龍一です。

一般論ではなく、実際にやったことの中身で説明します。この記事に出てくる数字は、すべて公開済みの自社・支援先の事例から引いています。出典は記事の最後にまとめました。

アイデアを選ぶ4つの軸を先に決める

40個を眺める前に、ふるいを用意しておきます。数を出すこと自体は難しくありません。難しいのは、出した中から1つに絞ることです。次の4つの軸で点検すると、判断が好みではなく事実に寄ります。

  • 毎月発生する業務か。 年に1回しか起きない業務は、月額で払う理由が生まれにくい
  • 今の代替手段が手作業か。 紙・エクセル・電話・口頭で回っているほど、置き換えの余地が大きい
  • 解約されにくいか。 そこにデータが溜まり、他の人も同じ画面を見ている業務ほど外しにくい
  • 作る量が小さいか。 最初の1機能で価値が出るか、それとも全部揃わないと使えないか

この4つのうち、最初に切るべきは1番目です。毎月発生しない業務は、どれだけ困っていても月額課金には向きません。年次の申請や、数年に一度の入れ替えのような業務は、SaaSより受託や代行の形のほうが噛み合うことが多いです。

4番目の軸は見落とされがちですが、立ち上げの速度を直接決めます。1952年創業の一番飯店(高田馬場・スタッフ4名)は、紙伝票とトランシーバーで注文を回していた状態から、ノーコードのオーダーシステムに移しました。ベータ版までは2週間です。最初に作った範囲が小さかったから2週間で店に置けた、という順番で捉えてください。

業種別のSaaSアイデア20

業種から入る利点は、業務の名前がそのまま具体的になることです。逆に難点は、その業種に詳しくないと中身が想像で埋まることです。自分が働いたことがある業種、家族や取引先が働いている業種から先に見てください。

医療・介護・療育まわり(1〜4)

1. 訪問介護の実績記録と、請求データとの突き合わせ

2. 療育・放課後等デイの連絡帳の作成と、保護者への共有

3. クリニックや歯科の予約と、キャンセル待ちの繰り上げ連絡

4. 訪問看護のシフト調整と、当日の訪問順の組み替え

教育・スクール(5〜8)

5. 語学教室の生徒と講師のコマ割り、欠席時の振替管理

6. 習い事教室の月謝請求と、未納の督促

7. 受講生の進捗と課題提出状況の一覧化

8. 発表会や検定の申込受付と、時間割・座席の割り振り

飲食・小売(9〜12)

9. 店舗のオーダー受付と、厨房への通し(紙伝票の置き換え)

10. 食材の発注と、日次の原価集計

11. 複数店舗のシフトと、人件費の見える化

12. 定期購入の会員管理と、配送・決済の連動

建設・製造・物流(13〜16)

13. 現場の日報と、写真台帳の自動組み立て

14. 工事の安全書類と作業員名簿の整備

15. 設備の点検記録と、次回点検日の通知

16. 配送ドライバーの受け渡し記録と、再配達の連絡

不動産・士業・BtoBサービス(17〜20)

17. 内見予約の受付と、物件資料の送付履歴

18. 顧問先ごとの資料回収と、提出期限の管理

19. 補助金・助成金の申請書類の進捗管理

20. 多言語の求人原稿の作成と、掲載先ごとの出し分け

20番については、実際の開発例があります。株式会社マックスは補助金を使って、コーポレートサイト・外国人向け求人サイト・メディアを立ち上げ、4か国語に対応しました。それまで求人の更新には通常1週間(最短でも3日)かかっていたものが、30分〜1時間になっています。更新にかかる時間が「週」から「分」に変わる業務は、SaaSの対象として有望です。

業務別のSaaSアイデア20

業種をまたいで共通する業務から入る方法もあります。こちらは市場が広い代わりに、すでに使われている汎用ツールと比べられます。勝ち筋は機能の多さではなく、特定の業種の作法にどこまで寄せられるかにあることが多いです。

お金まわり(21〜25)

21. 請求書の作成と、入金の消込

22. 見積書のテンプレート化と、社内承認

23. 経費精算のレシート回収と、締めの集計

24. 案件ごとの原価と工数の集計

25. 会費・サポーター費の名簿と回収管理

人まわり(26〜30)

26. 勤怠の打刻と、残業が増えそうな人の早期表示

27. シフト希望の収集と、割り当ての下書き作成

28. 採用応募者の選考ステータス管理

29. 入社手続きの書類回収と、不足チェック

30. 研修の受講管理と、修了証の発行

顧客まわり(31〜35)

31. 予約の受付と、前日・当日のリマインド

32. 顧客情報と対応履歴の一元化

33. 問い合わせの振り分けと、定型返信の呼び出し

34. アンケートの配布と、回答の集計

35. 契約書の版管理と、更新期限の通知

社内の情報まわり(36〜40)

36. 日報・週報の収集と、共有用の一覧化

37. 稟議や各種申請の回覧

38. 社内マニュアルの更新と、閲覧履歴の記録

39. 在庫の棚卸しと、発注点の管理

40. 定期点検日・更新日の一斉リマインド

40個を並べましたが、これは選択肢の棚であって、正解の一覧ではありません。アイデアの価値は珍しさではなく、その業務を毎月やっている人に会えるかどうかで決まります。会いに行けない業務は、どれだけ筋が良く見えても後回しにしてください。

単価と契約の考え方:月額・従量・席数

課金の形は、大きく3つです。どれを選ぶかは好みではなく、顧客の中で何が増えていくかで決まります。

月額(定額)。 使う量にかかわらず一定額を受け取る形です。顧客にとっては予算が立てやすく、こちらにとっては読める売上になります。小さく始めるならまずこの形が扱いやすい。Walkersの自社サービスHP Answerは、制作費0円・月額4,900円という値付けで、ヒアリングシートだけで打ち合わせ0回、48時間以内に初稿を3パターン出す形をとっています。

従量。 処理した件数、保存した容量、送った通数などに応じて課金する形です。顧客の売上や活動量と連動するため、相手が伸びるほど自然に単価が上がります。反面、繁閑の差が大きい業種では請求額が読めず、嫌がられることがあります。

席数(ユーザー課金)。 使う人数ぶんだけ課金する形です。増え方がわかりやすい一方で、席数課金は顧客が成長するほど負担が増える設計なので、乗り換えの動機をこちらから育ててしまう面があります。

3つは排他ではありません。基本料金を月額で置き、ある件数を超えたぶんだけ従量を足す形は、双方の予算感を保ちやすい組み合わせです。値付けを決めるときは、相手が今その業務に費やしている時間と人件費を先に数えてください。削れる時間よりも高い金額は、理屈の上では通りません。

解約と乗り換えは、なぜ起きるのか

アイデア段階で見落とされやすいのが、解約の理由です。ここを理解しておくと、そもそもどういう業務を狙うかが変わります。開発事例から、典型的な2つを挙げます。

1つ目は、費用の増え方が事業の成長とぶつかる場合。 療育支援のOne Companyは、ユーザー数に比例して費用が増える既存システムを使っていましたが、自社専用のシステムへ切り替えました。開発期間は6ヶ月です。連絡帳の作成に1日あたり約1時間かかっていた業務も、その対象でした。使えていなかったから離れたのではありません。利用が増えるほど費用が増える構造そのものが、乗り換えを検討する理由になったということです。

2つ目は、使っているのに手作業が減らない場合。 語学学校の台湾トークは、生徒約370名・講師約70名を抱え、管理業務に月30時間かかっていました。開発期間は10ヶ月です。ここで重要なのは、業務がゼロだったわけではないという点です。何かしらの方法で回してはいた。それでも月30時間が残っていたから、専用のものを作る判断に至りました。汎用のツールに業務を合わせると、埋まらない隙間が手作業として残り、その手作業の総量が閾値を超えると乗り換えが起きます。

この2つは、裏返せば作る側の指針になります。費用が跳ねる境目をあらかじめ示しておくこと。そして、隙間に残る手作業がどこかを、導入前に一緒に数えておくこと。どちらも派手な機能ではありませんが、続けて使われるかどうかを分けます。

40個から1つに絞り、小さく作って出す

最後は絞り方です。4つの軸で候補を3つ程度まで減らしたら、その3つについて「毎月その業務をやっている人に、今週会えるか」を確かめてください。会える相手がいる案が、いちばん速く進みます。

そのうえで、最初に作る範囲は思っているより小さくして構いません。Walkersの自社サービスPrompt Labは、構想からベータ版の公開まで3週間でした。スクール事業のTech Studioも、動画配信の仕組みを自社で1ヶ月で作って運営し、受講生は30名以上になっています。最初のバージョンは、その業務のいちばん面倒な一手間だけを引き取れば足ります。

作る順番を途中で変える判断も必要です。日程調整と決済を一体にしたビジネスマッチングのApoLinkは、テストマーケでマッチング機能の反応が良かったため、開発途中で作る順番を組み替えたうえで、予定どおりリリースしています。開発2ヶ月半、リリースから1ヶ月半で会員200人弱でした。アイデアは出した時点では仮説です。外に出したあとの反応で、どの機能から作るかを書き換えていくほうが結果的に早く着地します。

よくある質問6選

質問1すでに同じようなサービスがある領域は避けるべきですか。

避ける必要はありません。同じことをやっている会社があるのは、その業務にお金が動いている証拠でもあります。むしろ確認すべきは、その既存手段を使っている人の手元に、まだ手作業が残っているかどうかです。残っていれば入り込む余地があります。

質問2自分が詳しくない業種のアイデアを選んでもいいですか。

選べますが、詳しい人に毎週会える状態を先に作ってください。業種固有の帳票や商習慣は、外から見ると細部のように見えて、実際は使うかどうかを決める部分であることが多いです。会える相手がいない業種は、後回しにするほうが安全です。

質問3月額はいくらから始めるのが妥当ですか。

一律の正解はありません。判断の順番としては、その業務に今かかっている時間と人件費を数え、そのうちどれだけ減らせるかを見積もったうえで、その範囲に収まる金額を置きます。安くしすぎると、改善を続ける原資がなくなる点にも注意してください。

質問4無料プランは用意したほうがいいですか。

業務系では必須ではありません。無料で使える範囲が広いと、本当に困っている人かどうかの判別がつきにくくなります。最初のうちは、期間を区切った試用のほうが、相手の本気度を測りやすいことが多いです。

質問51社向けに作ったものを、他社に売っても構いませんか。

権利や守秘の取り決め次第ですので、着手前に契約で確認してください。そのうえで技術的には、1社の業務に深く合わせるほど汎用性は下がります。共通部分と個社対応の境目を最初に決めておくと、2社目以降の展開がしやすくなります。

質問6アイデアが40個あっても、どれも大きすぎて手が出ません。

その場合は、業務そのものではなく、業務の中の一手間まで割ってください。請求管理ではなく入金の消込だけ、シフト管理ではなく希望の収集だけ、といった粒度です。一人〜少人数で作る前提なら、この割り方が現実的です。

この記事について

池田 龍一

執筆:ハコブネ編集部 / 監修:池田 龍一

株式会社Walkers 取締役

池田は、ITとノーコードの事業開発・教育事業の立ち上げを経て2021年にWalkersを共同創業。100件以上のシステム開発に携わり、要件がまだ固まっていない案件や、他社から引き継いだ開発の立て直しを担当しています。

株式会社Walkersは、AI駆動開発・ノーコード開発のシステム開発会社です。累計開発実績300件、200社以上の支援、自社メディアの累計100万PV。受託開発と並行して、自社でも複数の新規事業を立ち上げています。

最終更新:2026年9月16日

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