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起業

起業したいけどアイデアがない人が、最初の1週間でやること探すのは「良い案」ではなく、掘る場所です

2026年9月16日公開 / ハコブネ編集部

AIの津波に飲み込まれるか、ハコブネに乗るか。

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公開 2026年9月16日/最終更新 2026年9月16日 | 監修:池田 龍一(株式会社Walkers 取締役) | 読了 約7分

起業したいけどアイデアがない人が、最初の1週間でやること

起業したいけどアイデアがない、という言い方をする人の多くは、案を一つも思いついていないわけではありません。思いついた端から「これは事業にならない」と自分で消しているだけです。足りないのは発想力ではなく、どこを掘るかの決めと、消さずに溜める場所です。この記事では、掘る場所を職歴・毎日の不便・人から頼まれることの3か所に固定し、1週間で終わる宿題の形にして渡します。案の良し悪しをここでは判定しません。判定は別の工程です。

この記事について

書いているのは、作る側です。ハコブネを運営する株式会社Walkersは、受託と自社事業で累計300件の開発に関わり、200社以上の事業づくりを支援してきました。監修は取締役の池田龍一です。

一般論ではなく、実際にやったことの中身で説明します。この記事に出てくる数字は、すべて公開済みの自社・支援先の事例から引いています。出典は記事の最後にまとめました。

「アイデアがない」の正体は、探す場所を決めていないこと

手が止まっている人に「何か思いつきましたか」と聞くと、たいてい2つか3つは出てきます。そのうえで「でも、もうありますよね」「小さすぎますよね」と続く。出す速度より、消す速度のほうが速い状態です。

この状態で必要なのは、ひらめきを待つことではありません。毎日決まった場所を掘って、出たものをそのまま置いておく手順です。ハコブネの代表つかさ(渡邊敦司)は、手持ちの資源から始めるエフェクチュエーションの考え方が自分の起業プロセスに近い、と公開の場で書いています。手持ちから始めると決めた時点で、ゼロから閃く必要がなくなります

掘る場所は3か所に絞ります。自分の職歴、毎日の不便、人から頼まれること。この3つは、いずれも「自分の中にすでにある」という点で共通しています。ネットで探す作業は、この3つを終えたあとで構いません。

掘る場所1:職歴(お金をもらってやってきたこと)

最初に掘るのはここです。理由は単純で、職歴の中にある面倒は、すでに誰かがお金を払って人にやらせていた面倒だからです。需要の確認が半分済んでいます。

やり方は、部署名や肩書きではなく「作業」で書き出すことです。営業と書くのではなく、見積もりを作る、日程を調整する、断りの連絡を入れる、と分けます。分けたら、面倒だった作業に印をつけます。

こうした時間は、中にいた人しか知りません。語学学校の台湾トークは、生徒約370名・講師約70名を抱えて管理業務に月30時間かかっていました。療育支援のOne Companyでは、連絡帳の作成に1日約1時間かかっていました。外から業界を眺めても、この種の数字は出てきません。自分の職歴は、他人が検索しても手に入らない在庫です。

掘る場所2:毎日の不便(今週、自分がいらだったこと)

2か所目は、思い出すのではなく記録します。不便は、過ぎた瞬間に忘れるようにできています。今週1週間、いらだった瞬間をその場で3行だけメモしてください。

メモが溜まったら、そのうち「自分ですでに回避策を作っているもの」に印をつけます。手書きのメモ、二重の台帳、写真で残す運用、独自の声かけ。回避策が定着している場所は、困りごとが本物である証拠です。

1952年創業・高田馬場の一番飯店は、スタッフ4名で紙伝票とトランシーバーを使って注文を回していました。これも立派な回避策です。ノーコードのオーダーシステムに置き換えたところ、ベータ版までは2週間、オーダーにかかる労力は約50%削減されたと依頼者が話しています(体感値です)。導入から約2年、今も使われています。

掘る場所3:人から頼まれること(信用がすでに動いている場所)

3か所目は、自分が何を頼まれる人なのかです。頼まれごとは、お金より先に信用が動いた記録です。

直近3か月を振り返って、頼まれたことを書き出します。仕事に限りません。資料を見てほしい、この人を紹介してほしい、使い方を教えてほしい、でいい。そのうえで、2回以上頼まれたものに印をつけます。2回目が来ている時点で、それはあなたの得意だと周りが判断しています

断ったものも書いてください。時間がなくて断った依頼は、需要はあったのに供給できなかった記録です。仕組みに置き換えられるなら、そこが一つ目の候補になります。

頼まれごとが思い出せない人は、送信済みメールとチャットの履歴を3か月ぶんさかのぼるのが早い方法です。記憶より履歴のほうが正確で、しかも「自分にとっては大したことではなかった」ものが残っています。その温度差が、そのまま価値の在りかです。

1週間の宿題(1日30分で終わる形にする)

3か所を、曜日に割り当てます。まとめてやろうとすると着手しないので、1日1か所です。手が止まっている人にとっての難所は、考える量ではなく、着手のたびに「何から手をつけるか」を決め直す部分にあります。曜日で固定すると、その判断が消えます。

  • 月:職歴を作業単位で書き出す(30分。面倒だったものに印)
  • 火:不便メモを開始(1日3行。金曜まで毎日続ける)
  • 水:頼まれごとを直近3か月ぶん書き出す(30分。2回以上と断ったものに印)
  • 木:3つのメモを1枚にまとめる(内容は変えず、並べるだけ)
  • 金:印のついた項目から候補を5つ選び、それぞれ「誰が困っているか」を一文で書く
  • 土:5つを人に話す(説明中に自分が詰まった箇所を記録する)
  • 日:1つだけ選び、誰に聞けば確かめられるかを書いて終わり

日曜に選ぶ1つは、本命である必要はありません。来週動かすための1つです。

この段階では、案を選ばない

宿題が終わると、多くの人がその場で良し悪しを判定しようとします。ここを我慢してください。判定基準を持たないまま判定すると、残るのは良い案ではなく、自分が説明しやすい案です。慣れている領域の案は説明がうまくできるので、必ず勝ち残ります。

この工程の成功は、良い案が出たことではありません。明日も掘れる場所が決まって、出たものを消さずに置く箱ができたことです。選ぶ基準と捨て方は別の工程で、出す技術もまた別の技術です。それぞれ記事を分けてあります。

箱は、あとから見返せるならノートでもスマホのメモでも構いません。大事なのは形式ではなく、消さないと決めておくことです。数週間ためると、同じ不便が別の言い方で何度も出てくることに気づきます。繰り返し出てくるものは、その時点で強い候補です。

もう一つ。一人で掘ると、自分が当たり前だと思っている作業が見えません。人に話したとき、相手が驚いた箇所がほぼそのまま種になります。ハコブネのランチ会は月1〜2回・1回60〜90分の少人数で、2026年9月4日の回は7名、うち2名はメンバー以外の参加でした。話す相手を確保する、というだけの用途で使って構いません。

手が止まる理由は、たいてい能力ではない

2026年8月23日に東京・目白台とオンラインで行ったハッカソンでは、開発が初めての人や事業を持っていない人を含めて、参加者全員が4時間弱でプロダクトを完成させて発表しました。生まれたのは5本(参加者3本・運営2本)、受賞したのは開発未経験の参加者です。少人数の回である点は添えておきます。アンケートに答えた3名は、満足度が全員10点満点でした。

ここから言えるのは、4時間で天才になったということではなく、締め切りと発表相手を先に置くと、人は手を動かせるということです。アイデアがない状態も同じ構造で、期限と発表相手のない探索は、いつまでも続きます。1週間と決めて、日曜に誰かへ話す約束を入れてください。

よくある質問5選

質問1職歴が浅くても、掘る場所になりますか。

なります。年数ではなく「その作業を毎日やっていたか」が効きます。アルバイトでも、受付や在庫管理のように毎日同じ手順を回していたなら、面倒だった部分を知っているのは現場の人だけです。年数が浅いぶんは、不便メモと頼まれごとの2か所を厚くして補ってください。

質問2出てきた案が、すでに世の中にあるものばかりです。

この段階では問題になりません。競合がいることは市場があることの裏返しで、つかさも「検討中の新規事業に競合がいた時、普通の人はやめとくかと考えるが、事業開発をやる人は市場があると受け取る」という趣旨の投稿をしています。誰もやっていない案のほうが、まだ誰もお金を払っていないだけ、ということが多いです。

質問3会社員なので、職歴の話を事業にしていいのか迷います。

守秘義務や競業避止の扱いは会社ごとに違うので、そこは就業規則を確認してください。そのうえで、特定の顧客名や社内データを持ち出さなくても、「その作業に時間がかかる」という構造自体は業界に共通していることが多く、構造だけなら使えます。判断に迷う部分は、掘る段階では保留箱に入れておけば十分です。

質問41週間やっても、ピンと来るものが出ませんでした。

ピンと来るかどうかは判定基準として弱いので、あまり気にしなくて大丈夫です。代わりに、印がついた項目の中から「困っている人の名前が出てくるもの」を選んでください。名前が出る案が一つもない場合は、掘り足りないというより、社外の人と話す量が足りていないことが多いです。

質問5宿題の次は何をすればいいですか。

出す量を増やす工程と、絞る工程に進みます。出す工程では自己分析・不便探し・掛け算・移植・トレンド接続といった手順で案を並べ、絞る工程では需要・強み・続けられるか・確かめやすさで1つに落とします。そのあとがニーズ検証です。順番を飛ばすと、確かめる前に作り始めることになります。

この記事について

池田 龍一

執筆:ハコブネ編集部 / 監修:池田 龍一

株式会社Walkers 取締役

池田は、ITとノーコードの事業開発・教育事業の立ち上げを経て2021年にWalkersを共同創業。100件以上のシステム開発に携わり、要件がまだ固まっていない案件や、他社から引き継いだ開発の立て直しを担当しています。

株式会社Walkersは、AI駆動開発・ノーコード開発のシステム開発会社です。累計開発実績300件、200社以上の支援、自社メディアの累計100万PV。受託開発と並行して、自社でも複数の新規事業を立ち上げています。

最終更新:2026年9月16日

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