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起業

会社員をやりながら起業する準備。在職中にしか作れないもの顧客候補・実績・組む練習・小さな受注

2026年9月16日公開 / ハコブネ編集部

AIの津波に飲み込まれるか、ハコブネに乗るか。

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公開 2026年9月16日/最終更新 2026年9月16日 | 監修:池田 龍一(株式会社Walkers 取締役) | 読了 約7分

会社員をやりながら起業する準備。在職中にしか作れないもの

会社員をやりながら起業の準備を進めるとき、多くの人が「辞めてから本番」と考えます。ただ、在職中にしか作れない準備がいくつもあります。会社員のうちに仕込んでおくべきなのは、収入の保険ではなく、辞めたあとに効く材料のほうです。この記事では、時間の作り方や辞めどきではなく、準備の中身だけに絞って整理します。顧客候補との関係をどう数えるか、実績をどう残しておくか、社外の人と組む練習をどこでするか、小さな受注をどう受けるか。あわせて、始める前に勤務先と専門家に確認しておくことも先に書いておきます。想定読者は、会社員のまま自分の事業や新規事業を立ち上げようとしている人です。

この記事について

書いているのは、作る側です。ハコブネを運営する株式会社Walkersは、受託と自社事業で累計300件の開発に関わり、200社以上の事業づくりを支援してきました。監修は取締役の池田龍一です。

一般論ではなく、実際にやったことの中身で説明します。この記事に出てくる数字は、すべて公開済みの自社・支援先の事例から引いています。出典は記事の最後にまとめました。

準備は「辞めてからでは作れないもの」から埋める

起業の準備というと、事業計画、資金、屋号やロゴ、会社の形態あたりを思い浮かべる人が多いです。ただ、そのほとんどは辞めたあとでも作れます。逆に、辞めたあとでは手に入りにくくなるものがあります。仕事を通じて生まれた人との関係、社内で何かを立ち上げた経験、扱ってきた領域の土地勘、そして毎月の給与があるという条件のもとで失敗できる機会です。

在職中の準備は、「今しかできないか」で並べ替えると、やることが半分くらいに減ります。資料作りや形式を整える作業は、たいてい後ろに送れます。

この記事で扱うのは、次の4つです。

  • 顧客候補との関係(誰と、どういう関係で残しておくか)
  • 実績の残し方(辞めたあとに説明できる形にしておく)
  • 社外の人と組む練習(一人で全部やらないための予行演習)
  • 小さな受注の受け方(1件でも「売った経験」を持っておく)

時間の作り方や辞めどきの見方は別の記事に整理しているので、ここでは触れません。

始める前に確認すること(勤務先の規程と専門家に)

準備の中身に入る前に、線引きの話を先に書きます。ここを曖昧にしたまま進めると、うまくいったときほど後で困ります。確認する対象はおおむね次のとおりです。

  • 就業規則の副業・兼業の規定(許可制か、届出制か、禁止か)
  • 競業避止に関する定め(在職中と退職後で条件が違うことが多い)
  • 秘密保持の範囲(在職中に知った情報をどこまで使えないか)
  • 勤務先の設備・アカウント・データ・顧客名簿を使わないこと
  • 勤務時間中・会社の場所では手をつけないこと

勤務先の情報と資産は、1件も自分の側に持ち出さない。これは規定の解釈以前の決めごととして先に置いておくと、迷う回数が減ります。名簿や取引先リストのように頭に入っているものも、そのまま営業に使えば同じ問題になります。

なお、規定の読み方や競業避止の有効性は、勤務先ごとの規程と個別の事情で結論が変わります。この記事は一般的な整理であり、労務・法務の判断は必ず勤務先の規程を確認したうえで、社会保険労務士や弁護士などの専門家に相談してください。ネット上の一般論だけで「大丈夫そう」と判断しないほうが安全です。

顧客候補は「会社の名前抜きで話せる相手」で数える

在職中の人が持っている一番大きな資産は、たいてい人との関係です。ただし、そのまま持ち出せるわけではありません。使えるのは名簿ではなく、「会社を辞めたあとでも、個人として連絡が取れるか」で数えた関係のほうです。

数え方は、次の問いに具体的な名前が出るかどうかで足ります。

  • 明日会社を辞めても、来週ふつうに連絡できる人は何人いるか
  • そのうち、自分がやろうとしている領域で困っていそうな人は何人か
  • その人が、自分に何を頼んでくると想像できるか

この人数がゼロに近いなら、準備の最初にやることは事業計画づくりではなく、人に会うことです。関係の作り方としては、業務外の場に出て、社名ではなく自分の関心のほうで話す機会を持つのが現実的です。参考として、ハコブネのランチ会は月1〜2回・1回60〜90分で開いていて、2026年9月4日の回は7名、そのうち2名はメンバー以外(事業開発が本職の人と、社内新規事業の担当者)でした。少人数ですが、社外で同じ関心の人と話す場はこのくらいの規模のことが多いです。

会ったときに聞くことは、感想ではなく事実に寄せます。いま何に時間を取られているか、いまはどうやって済ませているか、困ったときは誰に頼んでいるか。将来の意向を聞くより、いまの行動を聞くほうが、あとで使える材料になります。

実績は、辞めたあとに説明できる形で残す

在職中の経験は、そのままでは外に伝わりません。「〇〇部で〇〇を担当」は、社内では通じても、外から見ると何ができる人なのか分かりません。残すべきなのは役職や担当範囲ではなく、「何を決めて、何が変わったか」です。

残し方は3つあります。

  • 自分が決めた判断を、理由つきで書き残す(決めた日、迷った選択肢、選んだ理由)
  • 動いた数字は、動く前と後を両方メモしておく(外に出せるかは別として、手元には残す)
  • 守秘に触れない範囲で、社外に出せる形を1つ作る(勉強会での発表、記事、登壇など)

注意点として、社内の数字や固有名詞、非公開の資料をそのまま外に出すのは秘密保持に触れます。話せるのは、手順・考え方・自分の判断の部分です。「どんな業界の、どのくらいの規模の案件で、どういう順番で進めて、どこで方向を変えたか」まで抽象化すれば、多くの場合は説明できる形になります。ここでも線引きは勤務先の規程を確認してください。

在職中に社内で新しい取り組みを立ち上げた経験があるなら、それは外から見て分かりやすい実績になります。予算も人員も自分の裁量では決められない条件のなかで前に進めた記録は、独立後の受託や協業の場面でそのまま通じることが多いです。

社外の人と組む練習を、在職中に一度やっておく

一人で起業すると、最初にぶつかるのは「自分にできないこと」をどう埋めるかです。会社にいる間は、できない部分は他の部署が埋めてくれます。辞めたあとは、その相手を自分で見つけ、条件を決め、進み具合を確かめる必要があります。これは知識ではなく、やってみないと身につかない種類のことです。

練習の場としては、報酬が絡まない、期間の短いものが向いています。短期のイベントで初対面の人とチームを組む、知人の事業を手伝う、勉強会で共同で何かを作る、といった形です。目的は成果物そのものではなく、「初対面の相手と、短い時間で役割を決めて、最後まで出す」経験を1回持っておくことです。

参考として、ハコブネが2026年8月23日に開いたハッカソン(東京・目白台+オンライン)では、開発が初めての人や事業を持っていない人を含む参加者全員が4時間弱でプロダクトを完成させて発表し、生まれたのは5本(参加者3本+運営2本)でした。アンケートに答えた3名は満足度が全員10点満点です。少人数の回ではありますが、短い時間で形にするところまでを人と一緒にやる場の例として挙げます。1日単位の場としては1DAY新規事業立ち上げイベント(会員は参加費無料、一般3,000円。次回は2026年9月19日と10月18日)もあります。

小さな受注を1件、受けてみる

準備のなかで効果が大きいのに飛ばされがちなのが、実際に売ってみることです。無料で手伝うのと、金額を決めて受けるのは別の経験です。お金を受け取った瞬間に、相手の要求も自分の言い訳も変わります。この変化を在職中に一度経験しておくと、独立後の1件目の重さが下がります。

受け方は、次の順で進めると事故が減ります。

  • 引き受ける範囲と、引き受けない範囲を先に文章にする
  • 期間と、自分が動けない曜日・時間帯を先に伝える
  • 金額と、支払いのタイミングを決める(相場は案件によって大きく変わるので、まず自分が納得できる額から決める)
  • 口頭で決めたことも、その日のうちに文章にして送る
  • 終わったあと、相手に「次に頼むとしたら何か」を聞く

最後の項目は、次の仕事より価値があることがあります。1件目の価値は売上ではなく、自分が何を売れる人と見られているかが分かることです。

ここでも、副業として受注してよいかは勤務先の規定によります。届出が要るなら出す、禁止なら受けない。曖昧なまま受けると、あとで事業のほうを止めることになります。

在職中にやらなくていいこと

最後に、やらなくていいことも書いておきます。

  • 完成度の高いホームページや会社案内(売るものが決まってから作れば間に合う)
  • 法人化の判断(形態は事業の中身が決まってからで足りることが多い)
  • 資格やスクールの積み増し(必要になった時点で取るほうが、使いどころが分かる)
  • 大きな初期投資(設備、在庫、広告)

これらは「準備している感じ」が強く出るぶん、着手を先送りする口実になりやすいです。在職中の限られた時間は、人に会う、実績を説明できる形に整える、1件売ってみる、の3つに寄せたほうが後で効きます。

よくある質問5選

質問1在職中に顧客候補と話すこと自体が問題になりませんか

勤務先の規程と、話す相手・内容によって結論が変わります。勤務先の取引先や、業務で知った情報をもとに接触する場合はとくに慎重に判断してください。判断に迷う部分は、社会保険労務士や弁護士などの専門家に相談したうえで進めるのが安全です。

質問2副業が禁止されている会社です。準備は何もできませんか

報酬を受け取る形は取れませんが、人に会って話を聞く、領域を調べる、自分の判断を記録に残すといった準備は進められる場合が多いです。ただし、どこまでが「副業」にあたるかは規程の書き方によります。必ず勤務先の規程を確認してください。

質問3準備はどのくらいの期間をかけるべきですか

期間で区切るより、確かめたいことが片づいたかで見るほうが動きやすいです。売るものが決まっていて、話を聞ける相手がいて、1件売った経験があるなら、準備の段階としては材料がそろっています。逆に、期間だけが過ぎて材料が増えていないなら、やることの中身を入れ替えたほうがよいこともあります。

質問4社内で立ち上げた事業の話は、どこまで外で話せますか

一般に、社内の数字・固有名詞・非公開の資料は出せません。話せるのは、進め方や自分の判断のように抽象化した部分です。線引きは勤務先ごとに違うので、規程を確認し、判断に迷えば専門家に相談してください。

質問51件目の金額はどう決めればよいですか

相場は、引き受ける範囲・期間・責任の重さで大きく変わるため、金額だけを先に決めても目安になりません。引き受ける範囲を書き出し、そこにかかる時間を見積もったうえで、自分が納得できる額から決めるほうが決めやすくなります。安く受けすぎると、断りにくい関係だけが残ることもあります。

この記事について

池田 龍一

執筆:ハコブネ編集部 / 監修:池田 龍一

株式会社Walkers 取締役

池田は、ITとノーコードの事業開発・教育事業の立ち上げを経て2021年にWalkersを共同創業。100件以上のシステム開発に携わり、要件がまだ固まっていない案件や、他社から引き継いだ開発の立て直しを担当しています。

株式会社Walkersは、AI駆動開発・ノーコード開発のシステム開発会社です。累計開発実績300件、200社以上の支援、自社メディアの累計100万PV。受託開発と並行して、自社でも複数の新規事業を立ち上げています。

最終更新:2026年9月16日

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