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新規事業立ち上げ

生成AIの活用事例10本|個人と小規模が作った新規事業大企業の導入事例ではなく、自分で作って出したほうの話

2026年9月16日公開 / ハコブネ編集部

AIの津波に飲み込まれるか、ハコブネに乗るか。

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公開 2026年9月16日/最終更新 2026年9月16日 | 監修:池田 龍一(株式会社Walkers 取締役) | 読了 約9分

生成AIの活用事例10本|個人と小規模が作った新規事業

生成AIの活用事例を調べると、大企業が全社に導入して業務時間を削減した、という形の話が多く出てきます。ただ、これから自分で何か立ち上げたい人が知りたいのは、そこではないことが多い。個人や小さなチームが、生成AIを使って新規事業として何を作り、どこまで進めたのかのほうです。この記事では、ハコブネとWalkersの公開情報の範囲で、実際に作られた10本を取り上げます。それぞれ「何を確かめるために作ったか」「どこまで作ったか」「そこからわかったこと」の3点で並べました。規模の小さい事例も、数字が小さいままで載せています。

この記事について

書いているのは、作る側です。ハコブネを運営する株式会社Walkersは、受託と自社事業で累計300件の開発に関わり、200社以上の事業づくりを支援してきました。監修は取締役の池田龍一です。

一般論ではなく、実際にやったことの中身で説明します。この記事に出てくる数字は、すべて公開済みの自社・支援先の事例から引いています。出典は記事の最後にまとめました。

導入事例ではなく、作った事例を見る理由

生成AIの活用事例には、大きく2種類あります。1つは、すでにある業務に導入して効率を上げた話。もう1つは、AIを前提にして新しいものを作った話です。前者は社内の稟議には向きますが、これから立ち上げる人の参考にはなりにくい。使う場面も、体制も、予算の桁も違うからです。

後者を見るときに大事なのは、規模ではなく粒度です。参考になるのは、うまくいった結果ではなく、何を確かめようとして、どこで止めたのかという判断のほうです。だからここでは、完成度も期間もバラバラのまま並べます。4時間で作られたものと、数週間かけたものと、事業として譲り受けたものが同じ棚に並びますが、そのばらつき自体が実態に近い。

なお、以下の事例に出てくる数字は、すべて公開されている出典の記載どおりです。検証前に置いた目標値なのか、実際に出た数字なのかは、その都度書き分けています。

4時間で生まれた5本:参加者が作った3本

ハコブネが2026年8月23日に東京・目白台とオンラインで開いた1DAY形式のハッカソンでは、開発が初めての人や、事業を持っていない人を含む参加者全員が4時間弱でプロダクトを完成させ、発表まで行きました。生まれたのは全部で5本(参加者3本+運営2本)です。少人数の回である点は先に書いておきます。

社員の資格期限管理アプリ。社内の有資格者の更新期限を、抜け漏れなく管理するアプリです。確かめようとしたのは「気づいたら期限が切れていた」という企業の困りごとが、シンプルな管理の形で解けるかどうか。作ったのは前半・後半合わせて約4時間で、参加者からは「開発した内容を完成させてサービスにする道筋が見えた」という感想が出ています。わかったことは、身近で具体的な困りごとほど、短時間でも形になりやすいという点です。

類似PoCを横断比較する企業向けPoC設計ツール。企業の課題を入力すると、課題の構造が似ている異業種の実在PoCまで見つけ、条件・結果・制約を横断比較して、その企業が最初に検証すべきPoCの設計を提示するツールです。作ったのは、開発がまったくのはじめてという参加者。約4時間で形にし、当日の講評で高い評価を受けて受賞しています。開発の経験より、どの情報をどう突き合わせると意思決定が変わるかを設計できるかどうかが効く、という例です。

自己理解をベースにした事業提案の診断ツール。診断を通じてその人の強みや志向を言語化し、事業提案につなげるもので、事業設計の個別相談への導線としても機能します。作ったのは約4時間。講評では「ツール単体で完結させず、その先のビジネスモデルまで含めて考えられている」点が挙げられました。作った参加者は、参加前はAIについて「効率化くらいしかイメージがなかった」と話しています。ツールの出来より、そのあと何が起きるかまで置いてあるかどうかが差になる、という例です。

アンケートに回答した3名は、満足度が全員10点満点でした。回答者3名という少人数の回の数字である点は、そのまま受け取ってください。

4時間で生まれた5本:運営が作った2本

BENLOG(便ログ)。「出したら記録。うんちが育つ。」というコンセプトの記録アプリで、うんち育成ゲームをやっていたら、結果的に排泄と生活の記録が残っている、という構造です。1ヶ月=1体で、月初にたまごが生まれ、月末に図鑑「BENDEX」へ確定します。確かめる仮説は「うんちを育てるためなら、人は毎日トイレを記録するのか」の一点に絞られていました。

作ったのは約4時間ですが、仕様書は複数シート構成(概要・機能要件・キャラクター一覧・画面一覧・便器判定ロジック・進化条件・データモデル・コラム32本など)まで用意され、D7継続率40%/D30継続率20%/1日平均3.5件という合格ラインと、Phase 0〜4のロードマップも置かれています。この継続率はあくまで検証前に置いた目標値で、実測値ではありません。それでも、作る前に合格ラインを書いておくと、結果が出たときの判断が事務作業になる、というのがここからわかることです。

インタビューAIメディア。「取材」という入り口で、業界特化のリストを集めるメディアです。営業リストの獲得が難しい状況に対して、「取材させてください」という依頼は断られにくい、という非対称性を使い、狙った業界の企業リストと接点を積み上げます。AIには、取材のアポ取り、質問設計、実施、文字起こし、記事化を巻き取らせ、少ないリソースで運営できるようにする設計です。AIO(AI Optimization)対策として、第三者評価の形をとる取材記事が有効という視点も置かれています。開発時間は約4時間。AIの使いどころが機能ではなく、事業の回し方そのものに置かれている例です。

自社サービスとして立ち上げた3本

Prompt Lab。Walkersが自社で立ち上げたサービスで、構想からベータ版の公開まで3週間でした。この期間の短さは、作る工程を速くした結果というより、公開の基準を「完成」ではなく「試せる状態」に置いた結果だと見るほうが近い。3週間で外に出せば、3週間後から反応が集まり始めます。

HP Answer。ヒアリングシートだけで打ち合わせ0回、48時間以内に初稿3パターンを出す形のサービスで、制作費0円・月額4,900円という提供条件です。確かめているのは、打ち合わせを無くしても発注が成立するかどうか、という点になります。提供のしかたそのものを変える形は、機能を足す形より真似されにくくなることが多いです。打ち合わせを無くすには、聞くべきことをシートに落とし切る必要があり、その設計は画面を見ても複製できません。

FDE-NOAH。自社で先に運用してから提供する、という進め方を取っている自社事業です。順番としては、外向けの商品を作ってから使うのではなく、自分たちが使って回るところまで持っていってから外に出す。自分が最初のユーザーになれる領域では、この順番が最も速く、最も外しにくいやり方になります。

買って続ける、小さく続ける

Aivis Project。Walkersは、AI音声合成の事業を2025年5月8日に譲受したと発表しています。新規事業は自分でゼロから作るものだと思われがちですが、すでに動いているものを引き受けて続けるという選択肢もあります。作る速さが上がった今でも、利用者がいる状態や積み上がった実績は、作って追いつけるものではありません。

バスケしようよ!。Walkersの自社事業のひとつで、草バスケの募集を扱うサービスです。生成AIの活用事例として並べるものではありませんが、同じ棚に置く意味はあります。新規事業で問われるのは使った道具ではなく、誰のどの用事を引き受けたかのほうで、そこは道具が変わっても動きません。自分や周りが実際に困っていることから始めた事業は、相手の解像度が最初から高いという強みがあります。

事例から取り出せる共通点

10本を並べると、規模や期間の違いのわりに、共通している部分があります。

  • 確かめることが1つに絞られている。 BENLOGは「毎日記録するか」の一点、HP Answerは「打ち合わせ0回で成立するか」。複数を同時に確かめようとしていません。
  • 完成させてから出していない。 4時間、3週間、といった区切りで一度出しています。完成の定義を「人に見せられる状態」まで下げています。
  • 作ったあとの導線まで考えられている。 診断ツールが個別相談につながる形、取材記事がリストにつながる形など、ツールの先が置かれています。
  • 数字が小さいままでも判断材料になっている。 回答3名の満足度も、検証前の目標値も、そのまま材料として扱われています。数字を大きく見せる工夫より、何の数字なのかを書き分けるほうが判断に効きます。

作る速度が上がったことで、事例の意味も変わりました。以前は「作れた」こと自体が事例でしたが、今はそこは前提になっています。残るのは、何を確かめようとして作ったのか、という部分です。

自分の事例を1本作るための進め方

最後に、これらを自分の側に置き換える手順を書いておきます。

1. 自分か身近な人が、毎週困っていることを1つ選ぶ

2. その困りごとについて、確かめたいことを1文で書く

3. 合格ラインを先に決める(使われる回数、続いた日数、払ってもらえた金額のいずれか)

4. 1日から3週間の範囲で区切り、その時点の状態で人に見せる

5. 出た反応で、2で書いた1文を書き換える

ハコブネでは、1DAY新規事業立ち上げイベントを会員は参加費無料、一般3,000円で開いていて、次回は2026年9月19日と10月18日です。3ヶ月・全6回の個別伴走で進める新規事業立ち上げゼミ(最大2名)もあり、現状整理から立ち上げる対象を1つに決め、コンセプト、顧客、MVPを作って動かす、改善、リリース、集客設計という流れで進みます。1人で区切りを作りにくい場合は、こうした外側の区切りを使う方法もあります。

よくある質問6選

質問1紹介されている事例は、どれも生成AIを使っていますか。

ハッカソンで生まれた5本や自社サービスはAIを前提にした作り方ですが、バスケしようよ!のように、そうでない事例も混ぜて並べています。使った道具より、何を確かめるために作ったかのほうを比べたいためです。

質問24時間で作れるレベルのものに意味はありますか。

売り物としての完成度は当然足りませんが、人に見せて反応を受け取るには足ります。実際、ハッカソンでは開発がまったくのはじめての参加者が作ったツールが受賞しています。完成度ではなく、確かめたいことが1つに絞れているかどうかが効きます。

質問3プログラミングの経験がないと難しいですか。

経験があるほうが有利な場面はありますが、必須とは限りません。紹介した事例では、開発がはじめての参加者が約4時間でツールを形にしています。難しさは、作る作業より、誰のどの困りごとを扱うかを決めるところに出ることが多いです。

質問4BENLOGの継続率40%という数字は実績ですか。

実績ではありません。作る前に置いた合格ライン、つまり目標値です。この記事に出てくる数字は、目標値なのか実際に出た数字なのかを都度書き分けています。

質問5事例のような小さい数字でも、参考にしていいのでしょうか。

むしろ、そのくらいの規模のほうが立ち上げ直後の参考になります。会員12名、回答3名といった数字は、最初の反応がどの規模で現れるかを示しているので、自分の期待値を調整する材料になります。

質問6何から手をつければいいですか。

作りたいものより先に、確かめたいことを1文で書くところからで構いません。その1文が書けると、作る範囲と、どこで止めるかが自動的に決まります。

この記事について

池田 龍一

執筆:ハコブネ編集部 / 監修:池田 龍一

株式会社Walkers 取締役

池田は、ITとノーコードの事業開発・教育事業の立ち上げを経て2021年にWalkersを共同創業。100件以上のシステム開発に携わり、要件がまだ固まっていない案件や、他社から引き継いだ開発の立て直しを担当しています。

株式会社Walkersは、AI駆動開発・ノーコード開発のシステム開発会社です。累計開発実績300件、200社以上の支援、自社メディアの累計100万PV。受託開発と並行して、自社でも複数の新規事業を立ち上げています。

最終更新:2026年9月16日

作る前の「何を確かめるか」を、人と決める

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